言われたとおりエレベーターホール横(陰?)の狭い通路の突き当たりに
『民事受付相談センター』
がありました。
緊張しつつ中に入ると、入り口の近くに
アンケート用紙のような物
が置いてあり、これに記入してから窓口で
(銀行と同じような)番号票をもらって、自分の順番を待つ仕組みになっているのです。
4時近い時刻のためなのか、それとも偶然なのか、相談センターに私の他の客は2人くらいしかいなかったので
意外に早く順番が回ってきました。
(まあ、裁判にまつわる相談なので、みな一様に深刻な話口でしたが・・・)
担当してくれたのはタレントの松尾貴史さんに良く似た若い利発そうな事務官で、私が
『これこれ、こういう状態なので少額裁判を考えている』と言うと、直ぐに専用書類一式を取り出して
記入の説明をしてくれました。
その時出された書類は
『訴状』3枚、
『事情説明書(甲)』3枚
の合計6枚でした。
後者は訴える内容を普通の人間でも分るレベルで具体的に把握する為のメモのようなものなので、
それ程重要な書類ではないらしく、空欄に日付や数字を入れたり、項目にレ印を
入れるだけで直ぐに書き終わるものでした。
しかし、訴状の方はそうは問屋が卸しません。
『お上』に提出する有印私文書なので細々としたチェックが多く、自分の名前を書くだけでも
緊張を強いられました。
(まあ、内容的には事情説明書とそれ程変わりが無く、対話式に文言を書き込み、必要な場所にレ印をいれれば
良いはずなのですが・・・)
特に戸惑ったのは
『社長の肩書き』
です。
会社の代表者の事を普段は『社長』といっていますが、会社謄本上は『代表取締役』と書かれている事が多いと
思います。
ところが、この表記は取締役が何人もいる株式会社における『取締役の代表』という意味合いがあるので、
取締役が通常1人しかいない有限会社では微妙に異なるらしいのです。
そこで、今回うちの親父の肩書きは
『代表者 代表取締役』
という妙な感じの物になったのでした。
まあ、謄本の内容によっては細かい事はケースバイケースですから、この限りではありませんし、
この辺のよく分らないロジック(理屈)も窓口の事務官が懇切丁寧に説明してくれますので、
言われたとおり書き込めば良いだけの話です。
優しい事務官の指導の下、鉛筆書きの書類を書いていた私ですが、直ぐにつまづく事になりました。
全て順調かと思いきや、説明をいろいろと説明を受け、持っていた資料や書類を確認するうちに
決定的な忘れ物をしている事が発覚したのです。
今回のケースでは法人相手の訴訟なので、相手(被告)側の会社謄本は
以前取得していた
のですが、
訴えを起こす私の(原告)も法人なので(考えてみれば当然ですが)
『自分の会社の謄本』
が必要だったのです。
また、事前の勉強で訴状などに押す印鑑は『三文判でも構わない』と聞いていたので
自分の名前の印鑑は持っていたのですが、
裁判を起こすのは会社なので
『会社の印鑑』
が必要
だと言われてしまったのです。
自分の大ボケに苦笑をしたものの、元々最初の1回で手続きが済むとは全く思っていませんでしたし、
自分の会社の謄本取得しようにも、今日は時間的に無理なので素直に帰る事にしたのでした。
(つづく)