第09章:意外な成り行き

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一同で礼をして、いよいよ裁判が始まったのですが、裁判官はM弁護士が単なるオブザーバーである事を容認しつつも C社の人間が出席していない事に触れる事はありませんでした。

そして裁判官は意外な一声を発したのです。
『資料を何度も読んだのですが、一体誰が発注した仕事なのか分らないんですよ・・・』

これには無条件勝訴を想定していた私は驚きました。
確かに口約束で始めた覚え書きの無い仕事でしたが、私には裁判官の一言が 『私が誰から依頼されたかよく分らない仕事を勝手にやってしまった』 かに聞こえたからです。

するとM弁護士がC氏から聞いてきたのか
『C氏が契約や発注をした訳ではないが、現実に作業は行われ、それによって恩恵にあずかっているのだから、 ”C社に関する部分”である請求額の半分程度は支払う意志が在る』と、述べたのです。
”C社の部分が作業の半分くらい”と、言う主張は、ある程度理にかなった話ではありますが、 裁判になってから言うのでは到底納得するわけには行きません。
私は興奮を抑えつつ、『裁判を起こしたのはC社の対応がこんなにも異常で不誠実だったから』と内容証明の無視 や居留守について主張したのですが、裁判官には受け入れられませんでした。

そして裁判官は
『B氏やB社については判断のしようが無く、話の全体像をつかむ為には、A氏に来てもらう必要が あるようです。』と、結論付けました。
何やら話があらぬ方向を向きつつあったので、昨日のA氏からの電話のして『円満解決』の為の判決を 期待したのですが、更に驚くを聞かされました。

『え〜、第2回口頭弁論は12月3日、1時半とします。』
1回で判決が出るはずの『少額訴訟』で第2回という言葉を聴くとは夢にも思っていなかったので、 内心『ひえ〜!一体どうなっちまうんだ!!』と思ったものです。

しかし、私としては月末に全額回収できれば2回目の裁判を行う必要が無いので、相談したところ 入金後に『訴状取り下げを行えばよい』と、言う事になったのです。

重ねてM弁護士は『第2回口頭弁論をするにあたって、念のため”Bネット社のA氏”に 訴訟告知 を行い、 請求の分担を明確にしておいた方が良いでしょう。』
と、意見を出し裁判官に受け入れられました。

こうして『法律の素人が1人だけ』というなかで目を白黒させつつ、第一回口頭弁論はあっという間に 終わったのでした。

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