少額訴訟への道のり

第08章:答弁書で前哨戦

<平成14年10月17日(木曜日)>
それは翌週に予定していた撮影用のフィルム類を錦糸町のヨドバシカメラに買いに行った時だったと思います。

ホームで電車を待っていたところへ親父から携帯電話の着信があり、裁判所からFAXが届いたというのです。
そのFAXは『答弁書』といわれるもので、『被告側の言い分』を書いたものなのですが、 その内容に驚いたというのです。
親父いわく、”事もあろうに C社 の社長は『うちは関係がないから、請求書はA氏に回すべきじゃないか』と、言っているらしい”と、電話口で言っているのですが、にわかには真意がつかめません。

買い物を済ませて急いで会社に戻ると、答弁書にはこう書かれていました。


被告C社は本件請求契約の当事者となったことはない。

もし本件契約があったとすれば注文者はA氏か、それとも同氏が

代表取締役となっているBネット株式会社ではないかと思います。

前にも書きましたが、自分には関係ないと言うのならば、裁判を起こす前に何度となく主張する機会があった訳で、 再度呆れ返りました。
しかも、私を紹介しただけのA氏に矛先を向けている事も到底受け入れられるものではありませんでした。


話があらぬ方向に飛び火しそうになっているので、その日のうちにA氏に事の詳細を報告する事にしました。
すると当然の事ながら、こちらもやはり『関係ない』事を主張するとともに、例のオフィスで起こったトラブルの 全体像を聞かされました。

要するにA氏はB氏とC氏の双方と仕事上の付き合いがあり、その関係で両氏を引き合わせたそうですが、 C氏が某オフィスビルの1フロアを借りてC社を起す時に、部屋の賃貸料を軽減する為に B氏にオフィスの一部を 又貸ししたらしいのです。
最初のうちこそ共同戦線を張って新しい事業を展開しようとしていたようですが、B社の資金繰りが悪化により 部屋代の滞納を初め、結局払えなくなって喧嘩別れをしたようです。(詳しい事は分りませんが、B氏は多分に 山師の気がありました)

私はC社が”C薬局とB社の合弁会社”だとばかり思っていたのですが、実際には関係ない寄り合い所帯だった訳です。
(そうかといって、私の仕事がC社と無関係だとは到底思えませんが・・・)
ところが、答弁書に急に出てきた『Bネット株式会社』の事を聞いて、話が更に複雑になってなってきました。

名前からしてB社の関連会社であることは確かなのですが、何故A氏が社長なのか??。
実はBネット社はB氏の息子さんであるD氏が起した会社らしいのですが、 同氏がアメリカ在住の為 A氏に書類上の社長になってもらっているだけだ・・・・ と、言うのです。

なにやら話がきな臭くなってきましたが、すべては裁判で決してもらえる訳ですから、この日は腹の虫を収める為に A氏との会話を含めて答弁書へ回答書を裁判所へ送って1日が終わりました。

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答弁書とは?

裁判の過程における書類の大まかな流れとして
1.原告が裁判所へ告訴状を提出する
2.裁判所は告訴状(コピー)を関係書類とともに被告へ届ける
3.被告は裁判所へ答弁書を提出する
4.裁判所は答弁書(コピー)を被告へ届ける
という様になっているようです。
[図:書類の流れ]
訴状などの書類の流れ

答弁書とは被告が 原告の訴状に対する回答書 であり、被告が作成する書類です。
要するに裁判官が原告と被告の両方の主張(言い分)を事前に確認する為に提出を求める重要な書類で、
万が一被告がこれを提出せず、なおかつ第1回口頭弁論に欠席した場合は、無条件に原告が勝訴するそうです。
(極力被告にはなりたくないものです・・・)


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