少額訴訟への道のり
第01章:いざ、作業
<平成14年5月23日(?)>
その日A氏から
『机の配置が決ったので作業をして欲しい』との電話が入りました。
これで正式に作業依頼を受けた事になったのですが、作業日時はこちらの都合に
合わせるとの事だったので、
『平成14年5月25日(土曜日)、午前9時から作業する』と、返事をしました。
<平成14年5月24日(金曜日)>
A氏から『午前9時の約束だったが、やっぱり午前10時に変更して欲しい』との電話が入りました。
9時に現地にいると言う事は、家を出るのは8時くらいになりますから、内心早い時刻を言い過ぎたと
チョット後悔していたので”渡りに船”で承諾しました。
<平成14年5月25日(土曜日)>
約束していた朝10時前に現場のあるオフィスに到着したのですが、まだ誰も来ていないらしく、ドアには鍵が掛かっていて中には入れませんでした。
仕方がないので、オフィスの前においてあったC社の
パンフレットを読んで時間をつぶしていたところ、10時を大きく過ぎてC社の社長の
C氏が現れたので、作業に着手する事が出来ました。
(A氏やB氏は後からバラバラの時間に到着)
配線を行ったパソコンは以前の電話の通り約10台程度でしたが、具体的には
以下のような3種類のグループになっていました。
- A群(C社関係のパソコン機材:図では桃色)
- サーバーパソコン(WindwosNTサーバー)・・・ 1台
- ノートパソコン ・・・ 4台
- デスクトップパソコン(最初は予定外)・・・ 1台
- キャノン製インクジェットプリンター ・・・ 1台
- B群(B社関係のパソコン機材:図では水色)
- サーバーパソコン(Linuxサーバー) ・・・ 2台(!?)
- デスクトップパソコン ・・・ 3台
- キャノン製ネットワークプリンター ・・・ 1台
- C群(B社の販売管理用?:図では黄色)
- 富士通製デスクトップパソコン ・・・ 3台
- 伝票発行用ドットプリンター ・・・ 1台
図:オフィス内のレイアウト。フロアは極端に細長く(いわゆる”ウナギの寝床”)入り口側は
個別の接客スペースなどになっていた
大雑把にいうとA群とB群のパソコンを設定を大きく変えることなく統合して、ネットワークプリンター
で印刷できるようにするなど便利に使いたいというコンセプトです。
- 主な作業としては
- ・ IPルーターからハブで分岐させながらLANケーブルで
各PCやネットワークプリンターを繋いで行く
- ・ 印刷できるように必要があればデバイスドライバをインストールする
最も面倒なIPの振り分けは『IPルーター』が自動的にやってくれますから、殆どが
もらった
資料
を基にした単純作業です。
しかし、実際には文字で書くほど簡単な作業ではありません。
長いケーブルを使って最短距離を繋ぐのでよければ楽ですが、
ケーブルがオフィスの足元を縦横無尽に這っていたら、汚らしいだけでなく
躓(つまづ)く原因になって危険です。
そこで机の影や壁際など歩くのに邪魔にならない場所を通し、場合によってはカーペットタイルの
下を通すなどの工夫も必要となります。
しかし、LANケーブルは前のオフィスから持ってきた中古のケーブルです。
様々な長さのケーブルが大きな段ボール箱の中でトグロを巻いた状態で置いてあったので、
絡み合ったケーブルを解(ほど)く作業も必要でしたし、何度配線を確認しても動作しない
(PINGが返ってこない)PCがあると思ったら、
ケーブルが断線していたりと、余計な時間も掛かったりしたのです。
そんなこんなで、(文字通り)オフィスを這いずり回っているうちに瞬く間に時間は過ぎ、
すっかり日も暮れたのですが、作業は終わりませんでした。
見ると聞くとでは大違いで、作業をするうちに大小のトラブルが発生したからです。
まずはC群です。
そもそもC群のPCは作業を始めてから『ついでにこれも遣ってくれ』とB氏に急に言われた余計な仕事
だったのですが、置いてあった2台のPCを繋ぎ合わせても
『サーバーが見つからない』
と、エラーが出て動いてくれないのです。
2台のPCを調べると『Netwear』で構築された端末機だとわかったですが、
『10BASE−2』のターミネータの付き方からしても、もう1台のPCが繋がるように思えました。
そうなると”もう1台”が端末機に呼び出されるサーバーなのは明らかです。しかし、オフィス内を何度か探し回ったのですが、それらしいPCが見つからないので諦めて後回しにする事にしました。
次に直面した問題は
『A群用のサーバーをネットワークに接続するとB群からA群が見えなくなる』
という重大な物でした。
原因は直ぐに分りました。
A群のPCは元々C社オフィスではA群サーバーの下で動いていたわけで、
A群サーバーが作動すると同時にネットワークのアクセス制限も作動して
リソースが見えなくなる設定になっていたからです。
その上、元のオフィスではこのサーバーにDHCPサーバーの機能を持たせるように設定されて
いたので、サーバーを作動さた後にA群のクライアントを再起動させると
IPの振り分け関係で『A群からもB群が見えなくなる』事も分りました。
これらを解決する一番簡単な方法は”A群サーバーの設定を一部変更する事”なのですが、
土曜日だったせいかC社サーバーの
”パスワードを知っている人”
もいなければ、
”それを知っている人を知っている人”
もいない状態で作業が頓挫してしまいました。
そもそも1フロアのオフィスにLinuxベースとWinNTベースの2種類のサーバーが合計3台もあるのは少々異常ともいえます。
そこでB氏は
『C社サーバーは要らないんじゃない』と言っていたのですが、C社長は『これが無いと動かないソフトもあると思うから有った方が良い』と、意見は平行線のままでした。
結局7時近くまで作業を続けたものの、A氏もB氏も夕方にはそれぞれの用事で会社を出てしまい、
細かな質問のできる人もいなくなったので、この日は作業を途中で断念したのでした。
<平成14年5月27日(月曜日)>
私はやり残した作業を進める為、午後3時頃?にC社のオフィスを訪れました。
まず、C群サーバーの件をB氏に聞いたところ、『もしかしてこれの事かな?』と、言われました。
見るとコピー機の近くに置いてあった書類棚の上にデスクトップパソコンが無造作に置かれていました。
作業中に、そこにPCがある事には気づいていたのですが、他のPCや機材が一箇所にまとめて置いて
あったのに、このPCだけ意味ありげに(?)置いてあったので全く眼中に入っていなかったのです。
改めてこのPCを見たところ『10BASE−2』のLANポートが付いており、
他の2台と接続してみたところサーバーとして動く事が確認されました。
次に大問題だったA群サーバーです。
その日は平日だったのでOLさんも多数来ていていました。
それが幸いしたのか
”『A群サーバー』のログインパスワードのわかる人を知っているOLさん”
がいてくれ、連絡を付けることに成功しました。
パスワードが分ればこっちの物。設定を一部変更することで諸問題は解決してくれました。
一部のマシンの設置位置を多少変更したり、後から発見された8ポートのハブと4ポートのハブを
交換したり、プリンタドライバのインストールも出来たので殆どの作業が終わりました。
そこでA氏やB氏を集めて作業の終了報告をしたのですが、
C社長は
インクジェットプリンターを他のマシンからも印刷に使いたい
と要望してきたのです。
このパソコンにはCANON製のインクジェットプリンターが接続されているのですが、
NIC(ネットワークカード)が装着されていない為、そのままでは社内LANに
繋いでプリンタサーバーマシンにする事は出来ません。
まあ、ネットワーク接続のレーザープリンターがありますから通常はこちらで印刷するとして、
カラーで印刷する場合にはフロッピーにデータを入れて持ってゆけば・・・と、言う会話も
あったのですが、ネットワーク接続の方が便利な事は間違いありません。
私は急遽電車に乗り秋葉原でLANカードを購入し、トンボ帰りしてインストールを行い、
全ての作業を終了させたのでした。
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