02:幌生地を探してみる

幌を作り直すことを考える場合、幌生地をどうするかが最大の問題となる。
この件についてインターネットを検索するなどして随分と調べたのだが、2cvの幌で 使われている素材そのものは見つからなかった。
よって代替品を使う必要があるのが、探せば探すだけ候補が増えてくる有様だ。

しかし、検索の過程において幾つかの候補が挙がったので列挙してみる。
ちなみに各種性能特性は独断と偏見によって3段階評価としてみた。(最低が1、最高が3)

耐水性 ・・・ 幌なので雨漏りをするのは困り者だ。
耐侯性 ・・・ 風雨や日照、紫外線などによる経年変化にどれだけ強いかは重要だ。
経済性 ・・・ 目指しているのは『純正品よりも安く』だが、安かろう悪かろうでは意味がない。


ジープ用幌生地テーブルクロス用ビニール生地綿幌布テント生地トラック用幌生地MARS(マース)防水ナイロン


ジープ用幌生地
生地幅:103cm 価格:2,940円/m
耐水性:3 耐侯性:3 経済性:2

思い起こす事2003年5月。意外にも最初に見つかったのが最もゴールに近いかも しれない生地だった。
『自動車用の幌生地など見つからないだろう』と思い、最初から店先のオーニングテントに 使われているテント生地から検討していた。
しかし、用途が違う事もあって決め手になる製品がなかなか見つからず、業を煮やして
メーカーにメールを出してみた。
すると、メールを出したのが総合繊維メーカーだったせいか、『それなら専用品がありますよ』 と、生地見本まで送ってもらった。
[ジープ用幌生地:表]
ジープ用幌生地見本:表面
[ジープ用幌生地:裏]
ジープ用幌生地見本:裏面

生地見本を見てみると、流石に専用品だけあって確りとした作りに思えた。
目の詰まった綿生地の両面を軟質プラスティック(?)で厚めにコーティングしてあるので防水は完璧だし、 耐侯性も期待できそうだった。

しかし、実際には生地見本が届いたところで暫し頓挫していた。
見本を送ってくれたメーカーの担当者に再度メールを出して何処で購入できるかを聞いたのだが、 その後の返事は無い状態・・・
生地が存在する事が分かっても入手方法が分からなかったからだ。

ところが、最近(1年位前?)改めて検索を掛けたところ『ジープ幌生地』という商品名で 通販されている事がわかった。
(手元にある生地見本と楽天市場のWebSiteに載っている見本写真とでは『皮風の加工』の 紋様が微妙に異なる為、全く同じ物ではないかも知れないが・・・)
入手が可能になったものの、この生地に飛びつけなかった。
色が黒しかない上に、生地幅が103cmしかないのが気に掛かった。
つい先日採寸をしてみたところ、ギリギリ足りそうな感じなのだが、幌を開けたら最後閉められない 状態なので正確であるかについて自信が無いのだ。

テーブルクロス用ビニール生地
生地幅:いろいろ 価格:1,000円/m程度?
耐水性:短期的には3 耐侯性:1? 経済性:3

ジープの幌生地に代わる素材はないかとDIYショップをウロウロしていて目に付いたのが テープルクロスなどに使われているビニール生地だった。
少し大きなショップに行けば大概手に入るし、柄や色、厚みなども各種取り揃えられている。

しかし、考えたのは一瞬だけで、実際には検討に加えなかった。
これらの製品の目的はテーブルの装飾、防水、汚れ防止なので全てビニール製であることが多い。
よってビニール傘感覚の防水が可能と想像できるのだが、そもそも屋内用なので耐侯性が どれくらいあるかは未知数なのだ。
ビニールはオープンカーのリアウインドに採用されることもあるので、全く使えない事も 無いのだろうが、幌全体となると不安が多いのだ。

綿幌布
生地幅:96cm〜120cm 価格:1,500円/m〜
耐水性:2 耐侯性:3 経済性:3

『幌』で検索をしているうちに出くわしたのが『綿幌布』だった。
そもそも幌(キャンバス)はヨットなどの帆に使う為に生まれたので耐侯性に優れた素材である。
それを蝋などで防水加工した物をパラフィン幌布というらしい。
古くからある素材ではあるが、全ての素材がオーガニックなので使い込むほどに独特の風合いが生まれ為、トートバッグなどにも 使われ一部はブランド化している。

この素材の面白いのは通気性のある防水生地である事だ。
目の詰まった綿がベースなのでビニールのように完璧な防水性は無いが、適度な通気性もあるので 生鮮食料品の運搬にも使われている。
しかも、その防水性が50年も継続されたという逸話めいた物を聞くと否応無しに触手が伸びた。

検索を掛けると厚みや色、生地幅はいろいろあるらしくて面白い。
奥方が『ダークベージュがいい』と言うので見送ったが、2cvというキャラクターを考えると 使ってみたい素材ではある。

テント生地
生地幅:いろいろ 価格:いろいろ
耐水性:いろいろ 耐侯性:3 経済性:いろいろ

ここで言うテントは店の名前が書かれていたり、日よけ、雨よけに使われている物を指したつもりだ。
よって『オーニング』と言ったほうがピッタリくるかもしれない。

オーニング用生地は綿や化繊、ビニールなど素材は様々あるだろうがメリットは耐侯性にあると思う。
年がら年中、風雨や直射日光に晒して使われる事を前提にしているので、あらゆるストレスに 強い事が想像できる。

さて、『ジープ用幌生地』の項で書いたようにテント生地は当初から検索の対象になっていたが、 洋服用の生地と違って業務用の側面が強く、何処で入手するべきかは悩むところだった。
しかし、便利なものでインターネットの通販でありとあらゆる物を買える時代になったので、 オーニング生地も入手が可能だ。

ただ、通販の常で現物の質感や色味については現物が届くまで分からない事が多い。
バッグや洋服、小物などについては返品が可能なのだが、生地は長〜いロールから裁断して 出荷する為、返品が出来ないことが多い。
その為、気になった生地については生地見本を取り寄せてみた。

テント生地レカセンス:生地幅1200mm、3500円/m
(ヤマザキテントさん)
色や模様は何パターンもあるが、基本的にはシンプルな物ばかりだ。
奥方のリクエストを汲んでベージュ(107)を選んでみた。
[オーニング生地見本]
テント(オーニング)用生地レカセンス(107)
[オーニング生地の光の透過]
厚みも色も薄いので若干光は通る

楽天市場のサイトに記載された説明によると『アクリル100%ソフトなコットンライク生地』と あるくらいで、確かに厚みのある綿のような生地だった。
表裏の差は無いし、これといった防水処理はされていないが、目の詰まった化繊なので 直ぐに水が染みる様な事はなさそうだ。

敢えて難点を挙げるとすると価格が一寸高い事くらいだろうか。

トラック用幌生地
生地幅:960mm?いろいろ 価格:いろいろ
耐水性:2〜3 耐侯性:3 経済性:3

幌生地で検索をかけるとトラック用の『幌』にヒットがあった。
資材運搬の際の荷崩れ防止や雨よけなどが目的なので綿幌布もあればビニール製など様々あるようだ。
しかし、基本的に模様などは全く無く、色は素材に準じていることが多いようだ。

これらは注意して歩けば案外身近で目にする事ができるものの、通販で売られているものが どのようなものなのかはモニター上では分からない。
そこで、2種類の幌生地の見本を取り寄せてみた。

1.綿幌布
[トラック用幌生地]
トラック用幌生地。ちなみに取り寄せた見本の中では一番厚みがある

目の詰まった厚手の綿織物なので、直接雨が通る事は無いだろうが、完全防水では無い。
素材としても上記の綿幌布に準じているが、トラック用となると色は国防色(オリーブドラブ:黒に近い濃い緑) に限定されるらしい。
その為、日の光は殆ど通らないだろう。

2.ポリエステル100%帆布
[トラック用幌生地]
ポリエステル100%幌布

見本を取り寄せた会社では『ライトグリーン、国防色、オレンジ』の3種類があると書いてあったので ライトグリーンのみを頼んでみた。
届いた生地は薄いポリエステル生地の両面をゴム状の樹脂でコーティングしたような物だ。
よって綿幌布と違い水が全く通らない事は容易に想像できる。
しかし、見た目や手触りが一寸・・・何と言うのか・・・気持ちが悪い。
ザラザラのシボ加工がされているものの、光沢のある樹脂故にカエルのようなヌルっとした 質感なのだ。(まあ、使い込んで光沢が無くなればそれも気にならないだろうが・・・)

ちなみに生地見本の請求をメールで行ったところ、何故かその会社から電話が掛かってきた。
たまたま外出中だったので翌日こちらから電話を掛けてみたところ、単純に 『幌端部のハトメはいらないのですか?』というだけの話だった。
しかし、ついでなので突っ込んだ話を聞いてみたところ、この会社では 『幅96cmくらいの生地をミシンで縫い合わせて指定寸法に加工して出荷する』 と言われた。
トラックの荷台は形状や寸法が様々あるので1枚物の生地で作れないのは当然だが、 それだと今回の作戦には一寸難がある。
幅が1m程度あればゴムバンド部分の巻き込みは縫いつけて・・・と、考えた事もあるが、 1枚ものでの方があらゆる意味で手っ取り早い。

そんな訳でポリエステル幌布は除外せざるを得なくなった。

MARS(マース)
生地幅:103cm 価格:1,239円/m
耐水性:3 耐侯性:3 経済性:3
パラフィン幌布の代表的製品『DH9000』を検索している際に見つけたテント生地だ。
メーカーである大一帆布のサイトにある説明を引用すると
基布に樹脂を塗布、含浸させていくロ−タリ−スクリ−ン方式を採用しており、
大一帆布が、テント業界に初めて導入したフラット帆布(テント地)です。
このロ−タリ−スクリ−ン方式による技法を用いた帆布は、
テキスタイル表面がフラットな仕上げとなり、結果、美しい外観、
防汚性に優れる特色を持ちます。又、寸法安定性、耐候性、にも優れ、
レジャ−施設などのイメ−ジ効果をアップするマ−ス。
特殊フッ素樹脂加工による防汚加工を施していますので、
美しさ、光沢を長期間保ちます。
と、ある。

商品の性質としては上記のオーニング生地と同じだが、耐候性や防汚性の高さを積極に アピールしている点は見逃せない。
また、カラーバリエーションも豊富だ。

ただ、これも生地幅が103cmしかない為、即ヅモ発注は躊躇した。
しかし、非常に魅力的に思えた商品のひとつだ。

防水ナイロン生地
生地幅:120cm 価格:578円/50cm
耐水性:3 耐侯性:2(?) 経済性:3
幌生地を探す際のキーワードにとして防水性があった。
綿幌布にしてもテント生地にしても防水加工がされていなければ雨漏り(ダダ漏り?)が 起きても不思議ではない。
その点でいうとビニールやゴムが塗布されている素材は安心感があるが、カラーバリエーションや 質感が限定されてしまうのが難点だ。

そこでテントや幌といった用途の限定をせずに『防水』『生地』で検索をしているうちに 行き着いたのが『防水ナイロン生地』だった。
コットンハリウッド(
http://cotton-hollywood.com/) TOPページ → ファブリック(生地)→ 防水生地

[防水ナイロン生地:表面]
防水ナイロン生地の表面。 大して厚くは無いが、硬い質感だ。
[防水ナイロン生地:裏面]
裏面。 極薄く防水塗料(?)でコーティングされている

同じページには『お子様のレインコート作りに最適です』と言った薄手の生地も並んでいるが、 探しているのはもう少し厚手のものだったので『FN004:防水ナイロン地(厚手)無地 』を候補に上げてみた。
テント生地と違って日差しや熱変などの耐侯性がどれほどあるかは未知数だが、 防水をうたっているしカラーバリエーションも豊富だからだ。

生地を取り寄せてみたところ、光沢を帯びたナイロン生地の裏面を防水塗料でコーティングした ような物だった。
集めた生地の中で最も薄い素材だが、手触りや曲げた時の感覚が硬く、確りとしている。
もしかしたらエプロンなどを作る事を前提にしたものなのかもしれないので耐侯性については 若干疑問があるものの、生地幅が120cmと余裕があるし、価格も安いので試してみる事にした。
(2006.08.21) 初版
(2006.08.23) テント生地、トラック用幌生地を追加
(2006.08.24) MARS、防水ナイロン生地、写真を一部追加
(2006.08.25) 防水ナイロン生地の写真を追加。 記事の一部を訂正


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