なかなか来ない・・・

人間は所詮わがままなもので、注文したものを『急がないから』と、言うのは急いでいる心の裏返しです。


1997年12月初頭、ついに念願2CVを発注してしまった私でしたが、 今すぐに乗りたいというのが正直な気持ちである反面、それがかなわぬ現実である 事を認識する事となりました。

そもそも小火(ぼや)を出して永らく放置してあったオンボロ車ですから、 当然車検は切れており、あちらこちら改修(レストア)してから改めて 車検を通す必要があったのです。

しかし、『乗り出し40万円の中古車』ですから言えるワガママにも限度があります。

1分1秒でも早く乗り回したいのが人情ですが、そうするにはそれ相応のお金が必要になり、 たちまち予算オーバーになってしまいます。
そうならない為には、少々時間を余計に掛けてでも、予算内で最低限車検が通る状態にして もらう事の方が優先されたからです。

それでも内心は『年内には納車されるのでは?』と、淡い期待を抱いていたのですが、クリスマスが来ても 完成の報告は入らず、ついに年は明けてしまったのです。


平成09(1998)年01月某日

『まだ出来ませんかぁ〜』と、直接問い合わせる事をジッと我慢していたものの、 福田探偵経由で時折入ってくる大まかな近況は少なからず進んでいる事を示していました。

そして、ある日Mr.Mからも
『基本的なレストアが終わったので民間車検場に入庫した』
との知らせが入り、『すわ納車間近か!』と、小躍りしたくなりました。

ところが状況は思わぬ方向に転びました。

『車検に出したS自動車が業者価格でやってくれなかったので足が出てしまった』
と、Mr.Mから泣きの電話が入ったのです。

Mr.Mいわく、その界隈のシトロエンを扱う自動車業者には『派閥』のような物がある為、 遠まわしの圧力が掛かったらしいのです。

まあ、そんな話をどこまで信じて良いのかは分かりませんが、最初の金額と 大幅に変わったのでは契約が無意味になって馬鹿みたいですから、 話し合いの結果”込みこみ40万”だったところを 消費税を加味して”42万円”で折り合いを付ける事にしたのです。

何はともあれ、これによってゴールが確実に見えてきたのです。


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