秘密基地での出会い

Mr.M ・・・・彼はあやしい車屋です。
本人もそう言っているのですから間違いありません。

福田探偵に聞いた携帯電話の番号に電話をかけると

『風体のあやしさ』とは裏腹な『営業モード』の
明るい声が聞こえてきました。

私は率直に

「今、2CVがかなり欲しい気持ちである」事を伝え「週末にでも見に行きたい!」
と、とどめを刺しました。

するとMr.Mは

「2台確保してるンですが、今は行田に無いんですよ・・・車庫に入るのは来週になります。」
との事。

この時、既にショップで2CVに乗って(?)から2週間が経過していました。
できるなら1分1秒でも早くゴールに近づきたいところでしたが、
自分の熱い気持ちを確認する意味も兼ねて素直に1週間待つ事にしたのです。


<’97年11月末の日曜日>

待ちにまったその日、仕事あけの福田探偵と一緒に行田へと向かいました。
場所は行田の某所とだけ書いておきましょう。(←写真を見ればバレバレかも・・・)


☆ありふれた車の並ぶガレージ

まるで秘密基地のごときガレージに着くと、Mr.Mと車庫のオーナーが「白い2CV」の レストアをしている真っ最中でした。
(↑すなわち、直ぐには動かない状態・・・・)

電話では『2台』という話でしたから「もう一台は?」と尋ねると、 車庫の横へ停めてありました。
ところがその『もう一台』は塗装の表面は白く粉をふきバンパーは錆びて穴だらけ で、一見してオンボロな状態でした。

Mr.Mに車のプロフィールを聞いてみると 「前のオーナーが小火(ボヤ)を出してしまい、長期間放置されていた車体」 との事。

そう言われてボンネットを開けてみると エアクリーナーは無いわ、配線は燃えているわ、 生々しくもその形跡が残っていました。


『こりゃ駄目だな・・・』と私は内心思ったので、レストア中の『白い2CV』も含めて 雑談する事にしました。

すると、『白』の方は細かく見てみると意外にも『グレーの』方よりもコンディションが低く、 公道を走るのではなくレース用にレストアしてMr.M自身が乗るつもりだったようです。

その上で、

「もっと良いコンディションの2CVが入ってくる予定があるし、
カーセンサーに載っている物件を業販で引っ張ってもいいですよ。」
とMr.Mは言ってくれました。

しかし、高年式車やフルレストア済みの個体にこだわる気は、毛頭無い上にお金も有りません。
正直に言って、行田で現物を目の前にしながらも色や仕様などの具体的な物は決めていませんでした。

何故なら 「安くて美味しければ多少ボロでも気にしないつもり」 だったからです。

私は思い切って聞いてみました。

「あのグレーの2CVなら込み込みでいくらですか?」
すると、Mr.Mは少し考えてから呟きました。
「そうねェ・・・40万円くらいかな?」

私は少しめまいを憶えました。
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