でたらめ日記で日付を確認したところ、パンダの試乗に行ったのは平成１６年７月３１日事だった。
この日は土曜日だったが奥方が出勤すると言う事で早起きしたものの、私は一仕事終えた後だったので昼過ぎまでテレビを見てから試乗に出かけた。
ところが、地図を斜め読みしていた為か目的地である『アフファロメオお台場』がなかなか見つからない。
住所を頼りに付近をグルグルと走っていたところバックミラーに試乗中と思われるパンダを発見！
後を着いて行き、ようやくたどり着いたのだ。
■ ファーストインプレッション ■
初めて見たＮｅｗパンダは小ぶりで角張っているのでパンダと言えなくも無かったが、Ｃ３の中に垣間見る２ｃｖのような物を見出す事は出来なかった。
まあ、初代パンダは外から一寸見た事があるくらいで乗った事も触った事も殆ど無いので言うべき事も無い。
次に内装を見たところ、インパネに関しては『悪くは無い』程度のレベルだった。
エアコンのブロアーファンなどのスイッチ類が狭い範囲に配置されているので使いやすそうではあったが、素っ気無いと言えば素っ気無い。
商用バンや安価な軽自動車のような『ただ、そこにあるだけ』という事でも無いのだが、工作精度自体は最近の軽自動車の域には至っていない感じだ。
ダッシュボードは質感の無い安っぽいグレー。
黒やチャコールグレーよりかは明るいが、モダンでもポップでもない。
この点だけいうならＣ２、Ｃ３の方が出来が良いと思う。
しかし、マイナスポイントを帳消しにするような良いところがあるので全く気にならなくなった。
座り心地のよさそうなシートに目が釘付けになったからだ。
見るからに柔らかそうなシートだし、生地には全体にディンプル加工がしてあるのも気に入った。
ディンプルが乗り心地に寄与するとは思えないが、そんな所にも手の込んだ（？）デザインを与えているあたりがイタリアの粋なのだろう。
外装色によって明るいスカイブルーとにイエローの２色が用意されていてどちらもポップの極みだ。
『安かろう悪かろう』日本の小型車とは大違いだ。
そんなシートに座ってみて再度驚いた。
見た目に違わず感動的に乗り心地が良いのだ！！
座ると”当たり”が柔らかくストロークするのだが、ブヨブヨとしているわけではない。
柔らかい表皮の下に固めの層があるのか、キチンとしてお尻と太ももを受け止めてくれるのだ。
このシートの一点をもって契約書にサインをしたくなる程だった。
■ パンダＰＬＵＳに試乗 ■
営業さんに声をかけて試乗をさせてもらう事にした。
用意してもらったのはＰＬＵＳ（プラス）と言われる仕様だったと思う。
まあ、ベーシックのパンダとの差はルーフレールやサンルーフが付いている否かくらいで基本的には同じ車だ。
エンジンは１．２ＬのＯＨＣ４気筒、最高出力は６０馬力というから軽自動車並みとも言える。
それこそ非力なエンジンのポテンシャルを引き出すためにもＭＴが欲しくなるところだが、デュアロジックと呼ばれる２ペダルＭＴしか用意されていないのが残念だ。
まあ、安価なトルコン式ＡＴが３速や４速である事を考えるとダイレクトに繋がる５速シーケンシャルってのは悪い事ではないと、割り切らざるを得ない・・・
相変わらず２ペダルＭＴには慣れていないので、少々説明を受けてから試乗車は走り始めた。
カタログ馬力は軽自動車と同等以下だが、イタリアの小型車は良い意味で期待を裏切ってくれた。
ハイパワーとは程遠いものの、ギア比やトルクが適切なので非力感は全く無い。
車重が１０００ｋｇを切っているのが利いているのかもしれない。
しかし、トルコンＡＴと同じアクセル使いではギクシャクしてしまうのは２ペダルＭＴの性だ。
やっぱりＭＴモードにしてアクセルとシフトレバーを人間が操作してやった方がキビキビと走ってくれる気がした。
（非力なエンジンを引っ張って乗る事を考えるとトルクで勝るＣ２、Ｃ３よりも顕著だったように思える）
■ 総 論 ■
試乗を終えて営業さんと雑談していたが、かなり心が揺れ動いていた。
Newパンダは想像していた以上に良い車だったからだ。
確かにエンジン性能や価格の額面上の数値で比べたら日本車に太刀打ちできないが、最初から眼中に無いのでヤッパリｃ２、ｃ３と比べてしまう。
すると
Ｃ２よりも２０万円も安いのに４枚ドア
と言うのがボディーブローのように効いてくる上に
見た目も座り心地も素晴らしいシート
に止めを刺された気がした。
不満の種は数々あれど、飛び抜けてよいところがあるのが大いに気に入った。
これによりNewパンダは私の中で２ｃｖからの買い替え候補の最右翼となったのだ。
・・・が、買い替え候補は他に無いのもつまらない。
ふとした疑問が切欠で、この日は別の車も見に行く事になった。